第2章 人生における五つの重要事実と心の法則
2 心の状態
(1) 心の状態
前述の「現在に集中する」ということに関連して、「どのような心の状態」が幸せで成功(※注1)した人生を送るための前提となるのであろうか。これについては、次のような二つの状態がある。
(※注1)個人にとって行動したことは、自己が少しでも成長していれば、すべて成功である。
① 穏やかで心地よい状態
まず第1に、図1のように、日常生活と同様に、心が「穏やかで心地よい状態」であることが必要である。なぜならば、心がリラックスして、余分な力が入っていない「自然体」の状態において、疲れずに自己の本来の能力を十分に発揮することができるからである。
例えば、スポーツなどで典型的に見られるように、勝とうとして力(りき)むと、本来持っている実力を発揮できないと同時に、非常に疲れる。普段ならなんでもないことでも、オリンピックや優勝決定戦などにおいて、絶対に勝ちたい、勝たねばならないというプレッシャーから力んでしまい、勝てないという状況をよく見かける。
すなわち、力は入れるものではなく、無心の自然体で、上手く働かせるものなのである。
したがって、心の状態としては、外部の騒がしさに影響された異常な緊張、神経過敏(かびん)、焦り、不安などがなく、自己の内部の安定的で静かさを保った「平常心」ないし「穏やかで心地よい心」の状態であること(自然体)が、幸せで、疲れずに、かつベストが尽くせる状態なのである。