私の胸で声を出して、肩を震わせながら泣いている夫。愛おしいと思った。私はもらい泣きして、彼の頭を撫でながら…
バツ恋 ときめき名場面ピックアップ
【第9回】
武 きき
多くの読者に支持されてきた『夢を叶えた、バツイチ香子と最強の恋男』(通称「バツ恋」)。
番外編の余韻そのままに、“ときめき”が詰まった名場面を集めた【バツ恋 ときめき名場面ピックアップ】を、12月24日から1月4日までお届けします。
香子と丈哉の距離がふっと近づく瞬間、胸が高鳴る一言、思わず頬がゆるむやり取り——。
年末年始は、何度でも読み返したくなる“恋の名シーン”に浸りながら、バツ恋の甘い世界をもう一度お楽しみください。
四十二歳で離婚し、バツイチになった香子(こうこ)。 途方に暮れていた彼女は、“住み込みに限りお手伝い求む”の張り紙のある大きなお屋敷を見つけ、履歴書も持たずに思い切って飛び込んだ。猛烈な自己アピールから始まったこの奇妙な出会いが、香子の運命を思いがけない方向へと変えていく——。※本記事は、武 きき氏の小説『夢を叶えた、バツイチ香子と最強の恋男』(幻冬舎ルネッサンス)より、一部抜粋・編集したものです。
【前回の記事を読む】夜、二人きりになった途端に抱きついてきた夫。「一日中、部下に取られていたから…早くおいで」と言って私の手を引っ張り…
第三章 新しい家族
ようやく、名前が決まった。白(はく)に決定。
夕方、三人ともお風呂に入って、美味しい食事をして、
「香子さん、おはぎが食べたい」
「分かりました」
「う~ん、本当に美味しい」
三個をペロッと食べた。
「幸也は食いしん坊ね、うふふふ」
「母さんだって、二個食べただろう」
「あら、そうね。美味しいんだもの」
皆、大笑い。
片付けをしていると、幸也さん、キッチンに来てタッパーにおはぎを詰めている。
「幸也、あんた、何個持っていくつもり!」
「十個」
「ええー! 母さん達は四個?」
「いいだろう」
「だめよ。あんた一人でしょう。五個持っていきなさい」
「はぁ~ん、すくなぁ!」
すると、
「幸也、お前、多すぎ。母さんの言うとおりにしなよ」
そこで、二人の手が止まった。
「丈哉、ようやく、母さんと呼んでくれたね」
「丈にぃ、遅いんだよ」