日曜日の夕方、新宿中央西口改札口向かいの電子広告が華やかに流れる壁の前に真由子は立って待っている。今日は大人のイイ女風を意識して探したシックなワントーンのワンピースで、真由子は、精一杯お洒落にキメてきたつもりだ。

足元は、ヒールのある黒いパンプス。普段とは別の真由子、そう今夜は、自分が物語の主人公になれるのだから……。

真由子の腕時計が18時になったと同時に西口小田急側から流星が、いつもと同じように現れた。

深い緑色のベルベット素材のジャケット、黒いスリムなパンツ、そして流星お得意のヒール高めの黒いショートブーツ。その姿はヨーロッパの貴公子そのまんま、華麗なるイケメンの面目躍如といった感じだった。

流星の腕には、少し小さめだが5色のキレイな薔薇とカスミ草がアレンジされた花束が抱えられていた。

「真由子ちゃん、誕生日おめでとう!」

「わー、本当に薔薇の花束だ! 流星くん、有難う……」真由子は、感激で胸いっぱいだった。

「いやー、花屋さんから待ち合わせのここまで歩いて来るの、かなり恥ずかしかった」

そのまま真由子と流星は腕を組んで新宿東口のホテルへと向かった。歌舞伎町のホテルの部屋に入り、真由子と流星は、誕生日祝いのシャンパンで乾杯し、テーブルに広げたフードをつまむ。そして1時間もしないうちに、真由子と流星はシャワーを浴びて大きなベッドの中で抱き合った。真由子の求めに応じて、そのまま大人の男女関係を持った。真由子は最高に幸せだった。

「誕生日に薔薇の花束貰えて幸せ〜」

「真由子ちゃんが、喜んでくれて良かったよ、本当……」

真由子は、ベッドの横に寝そべる流星に不意に質問を投げかける。

「ねえ、流星くんにとって、私は、どんな存在なの?」

次回更新は1月14日(水)、20時の予定です。

 

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