アパートに着いて早々、彼女が急いで夕食を作っている間、俺は翔太くんのTVゲームに付き合いながら夕食が出来上がるのを待っていた。テーブルに料理が並ばれたのでゲーム器を片付け、「いただきま~す」と三人で声を大にして彼女が作った夕食を味わった。
「今日は変わったことあったの? 忙しかった?」
「忙しかったよお。ほぼ立ちっぱなし。もう疲れた」
「じゃあ、ご飯食べ終わったらマッサージしてあげるよ」
「ホント? ありがと」
「君こそお父さんとどんな話をしたの?」
「将棋を指しながらいろいろとね」
「将棋? ふ~ん。お父さんが将棋を指すなんて珍しい。後でゆっくり聞かせて」
「分かった」
ご飯を食べ終え、TVを見てからお風呂に入った後、彼女の体をマッサージした。
「うちのお父さん堅物でしょ?たまにそういうところあるんだよねえ」
「でも、将棋の相手が増えたから喜んでいたと思うよ。それに、俄然俺も火がついたというか、本気で親父さんのこと、君のことも口説き落とそうと、ますます決心がついたよ。君の苦労話も聞けたしね。普段そんな表情見せないから。君って強いなあと思って。お父さんにもっと俺のことを知ってもらえるよう頑張るから」
「どこまで聞いたの?」
「男と男の内緒」
「ふ~ん。男と男のねえ。あ~。だいぶ体がほぐれたよ。マッサージありがと」
「どういたしまして。そろそろ寝よう」
そう言ってベッドに入り灯りを消した。一時間ほど過ぎてからか、彼女がソファーから立ち上がり俺が眠るベッドに来た。
「寒くて眠れそうにないの。ベッドに入れてもらっていいかなあ?」
「いいよ。いつも借りてる身だし」
「ごめんね。私、端っこに寝るから」
「分かった」
(……)