(自由だ~)

羽田空港も久しぶりだった。空港の空気、アナウンスの声、すべてがわくわくする。札幌行の飛行機には、すでにコンサートのオリジナルバッグを持った人がいっぱいいて、なんだか恥ずかしかった。何しろ若い子が多いのでうしろめたい気持ちになった。

機内では、何年ぶりかの旅のくせに、慣れているふりをよそおって音楽を聴きながら機内誌をぺらぺらめくって、うとうとしているうちに到着した。

空港からは快速「エアポート」で札幌駅まで四十分ほどで着く。札幌駅に着くとすぐに予約してあったビジネスホテルまで歩く。さすがに札幌は寒くて肌がチリリと冷たくなる感じがした。

一人でチェックインするのもなんだかどきどきわくわくする。チェックインカウンターにはここにもまたコンサートのオリジナルバッグを持った若い子たちが並んでいた。

(あれ? 若いと思ったらそうでもないぞ。よく見ると私と同年代ではないか。中年の女性グループも結構いる。なあんだ)と安心する。

部屋に入って荷物を置き、ベッドに横になるとふーっと息をついた。喜びがふつふつとわいてきた。一人になれるってなんて幸せなことなのかと思った。

夜のコンサートまでには時間があるので行ってみたかった場所を散策することにした。

 

次回更新は3月25日(火)、21時の予定です。

 

【イチオシ記事】何故、妹の夫に体を許してしまったのだろう。もう誰のことも好きになれないはずの私は、ただあなたとの日々を想って…

【注目記事】娘の葬儀代は1円も払わない、と宣言する元夫。それに加え、娘が生前に一生懸命貯めた命のお金を相続させろと言ってきて...

【人気記事】銀行員の夫は給料五十万円のうち生活費を八万円しか渡してくれずついに…