エッセイ 『心に咲いた向日葵』 【第10回】 丸山 珠輝 「大声を張り上げたって誰も来ない」両手を捕まれ、無理やり触らせられ…。ことが終わると、涙を流しながら夢中で手を洗い続けた 【前回の記事を読む】「覚えるともうかるぞ」私はマッサージの"スペシャル"の意味をようやく理解した。そう言って横になっていた男は上向きになり…「スペシャルなんか教えていただかなくて結構です。そんなことまでして稼ぎたくありません」「おめえ、ようく考えろよ。めくらってのは、人に迷惑かけることが多いんだろう、そんな時に札びらちらつかせてみろ、少しはおめえらに手を貸してくれる者も出てくるってものよ。世の中…
小説 『エメラルド国物語』 【第4回】 光川 星純 「ポチ、見て!」川岸で輝くホタルの光。夢中になって追いかけていると、足を滑らせてしまい、気づいた時には……。 【前回記事を読む】来月東京から友達が信州に――しかし、肝心のホタルはまだ見つからない。そこでルリエは……こうしてさらに十五分ほど石の上を渡り歩いたり、浅い流れに入ったりして上っていった。さすがに息が切れて、石の上に腰を下ろして休む。ポチも長い舌を出して、息を荒くしている。冷たい風が吹いてきて、汗がスーッと引いていく。気持ちがよくなって、両足を流れにひたしたまま、石の上に仰向けになった。緑の梢を透…