それから一か月後、夜社員が帰った後、専務が号泣して部屋に入って来た。僕はびっくりして
『どうした!』
『社長、北山課長にやめてしまえと暴言を吐いたら、北山が絶対嫌です。僕は専務と退職するまで仕事をするんです。だからやめません! 専務と仕事をしたいです!って、僕は幸せ者です。うううう』
『そうか。良かったな。君の指導方法は間違っていなかったんだよ。ありがとう』
二人で又、男泣き。泣いた後大笑いしました。上司と部下、社員と社長。信頼関係、信用する事の大切が必要と思います。いかに人材を育成するかが今後の課題です」
等々約一時間程度話をした。
「何か質問ありますか?」
「会社の講演とか受けていますか」
「いいえ、僕は話下手です。仕事も忙しいので、今までもお断りしてきました。吉岡社長のお願いでしたので座談会式ならとお受けいたしました。今、三か月だけ社説をお願いされているのですが、愛している妻との時間が少なくて、もやもやしています。妻の事を書く本なら、いくらでもエピソードがあります。妻は凄く面白いです」
と語った。
食事会場に移動しながら
「吉岡社長、次回、うちのTI会に参加してみませんか」
「TI会、何ですか?」
「妻を愛する会です。妻達はすごく喜んでくれると自分達も嬉しくなります。大きい出費は出ますけどね。ハハハハハ、楽しいですよ」
「是非、参加したいです」
美味しい夕食をご馳走になり九時頃帰った。
【前回の記事を読む】亡き妻にそっくりな女性。諦めきれず、「奪ってやろう」と思った。ストーカーのように追いかけ、一人になった時に声をかけたが…
次回更新は10月2日(水)、20時の予定です。