8月の新連載のお知らせ

旅行・帰省の移動のお供に、お部屋でゴロゴロのお供に!
8月は11作品が連載スタート!


8月13日(火)
8時~『老楽』遠藤トク子
18時~『明日も一緒よ、クッキー』谷口晶
20時~『ベースボールよ、新たな夢へ!』村上正
22時~『アリとかげろう』日比優彦・作 ポンヌフ関・絵
 

8月14日(水)
8時~『海の梵鐘』波方遥
18時~『箱船へいらっしゃい 』葛西雄一郎
20時~『真夜中の精霊たち』新見上
22時~『漫画 渦巻いて 三河牧野一族の波瀾<古白編>』岩瀬崇典
 

8月15日(木)
8時~『司馬遼太郎 啐啄の記』辻本康夫
18時~『スクリーン』山田健太郎
20時~『気がついたらこんなことに』上田ノッペ


8月13日(火)8時~

『老楽』
遠藤トク子

人生いくつになっても、花を咲かせばいい。
酸いも甘いも味わい、喜寿を迎えようとする今こそ描く「童話」集ならぬ「老話」集。

 

「百歳まで生きてもらう」と節制した食事を強いる長男の嫁。
生きているうちに好きなものを好きなだけ食べさせてほしい、と切に願う老夫婦が案じた一計とは……?

人の温かさをユーモアたっぷりに描く「生きる幸せ」をはじめ、心を癒し、日々に彩りをそえる六篇の老話を収録。

誰もが避けられない「老い」と「死」。
そのリアルな厳しい現実に、それでも穏やかに、素直に向き合う。

本文をチラ見せ!

「長生きするのも楽じゃないやね」
彼はボソッとつぶやいた。町内会広場で毎朝ラジオ体操。リーダー格の彼は八十三歳。最近体調を崩したせいか、珍しく愚痴が出る。
私も後期高齢者の仲間入りをした。七十六年間なんてあっという間、光陰矢の如し。
年齢を重ねてみないと見えない景色もある。周りにいた知人や友人が次々とあの世に旅立つ。二年前には夫も…

8月13日(火)18時~

『明日も一緒よ、クッキー』
谷口晶

あせらず、急がず、ずっと一緒に歩いていこうね

 

クッキーと行った公園や旅先、毎日のお散歩……。
数え切れないほどの思い出の中には、いつだって笑顔で溢れるクッキーがいる。
長年のブログをもとに、クッキーとの愉快で平穏な日常をたどったフォトエッセイ。

出会いは2007年の春。トイプードルの女の子がやって来た。
「クッキー」と名付けられた我が家のアイドルは、甘えん坊のおてんば娘!
おもちゃや洋服をボロボロにしたり、お留守番のあとには大騒ぎで走り回ったり。
感情豊かなクッキーと過ごす新鮮な毎日を、日記形式で綴った一冊。

本文をチラ見せ!

ネコと犬とともに子供時代を過ごしたカアサン(私)は、長年ネコか犬を飼いたいと思い続けてきました。待ちに待ったマンションの管理規約改正が成立して、すぐに巡り会ったのが〝クッキー〟です。
カアサンとトウサン(夫)の家での生活は、ガラッと変わりました。否でも応でもなく、クッキー中心の生活に。彼女とのなんとも言えず面白い、そして変わった日々の出来事が、そのまま消えていくのは…


8月13日(火)20時~

『ベースボールよ、新たな夢へ!』
村上正

皆、野球が好きだった

 

「あの仲間と中学野球部で一緒にやれて良かった」僕は言う。
「そうだな。その仲間と六十歳になる今も一緒に野球やっているのだからなぁ」
「本当だよ。なかなかすごいことだと思う。野球のおかげ、野球で結ばれた」(本文より)

本文をチラ見せ!

小学校にあがる前、広島に住んでいた。東京から父の転勤で広島へ行ったのだった。
広島といえば、原子爆弾。広島と長崎に原子爆弾が投下されて第二次世界大戦は終焉を迎えた。
原爆ドームや平和記念公園には親に連れられて何度か訪れた。子供ながらに、戦争の悲惨さ、原子爆弾の恐ろしさを思い知った。広島で幼稚園から小学校一年の一学期を過ごした。
その頃、夏の遊びとして、兄と裏山の方へ虫を捕まえに行くことがあった。僕は兄の…


8月13日(火)22時~

『アリとかげろう』
日比優彦・作 ポンヌフ関・絵

一人ひとり、それぞれの運命と幸せがある

 

夏の間もせっせと冬支度をするアリ。
たった一日だけの夏を精一杯生きるかげろう。
全く違う生き方の虫たちが出会い、私たちに伝える”本当に大切なこと”とは――。

ある夏の朝、一匹のアリが自分より大きなエサを一生懸命運んでいます。
陽が傾き始めた頃、アリの前に現れたのは一匹のかげろうです。
アリはたくわえをせずに遊んでいるかげろうを心配しますが、かげろうにはアリの知らない宿命があり……。

本文をチラ見せ!

森の中は夏真っ盛り。
陽射しが容赦なく地面を照りつけ、時折木洩れ陽を揺らしながら、
森の中を静かに風が吹き抜けていきます。…


8月14日(水)8時~

『海の梵鐘』
波方遥

いつからだろう、海鳴りが聞こえなくなったのは。

 

夫と死別して六人の子持ちの男に嫁いだつね、戦後に生まれたその娘千津、父親の顔を知らずに育った同郷の誠司。
高度成長期に至る、社会や地域の変化とそこに生きる人々の物語。

本文をチラ見せ!

町から海までは一里ほどある。
地曳網の漁獲が多かった日は、浜部落の女たちがアジやいわし、アサリやながらみ、時にはホウボウなどの魚介類を荷車に載せ、町まで行商にやって来た。
女たちは目星をつけた、買ってくれそうな家に出向いて声をかけた…


8月14日(水)18時~

『箱船へいらっしゃい 』
葛西雄一郎

なさそうで、ありそうな〈もう一つの世界〉

 

明日への小さな希望を抱いたり、不条理な世の中に絶望したり――。
無機質な箱船に暮らすスズキ青年の“平凡”な日常をコミカルに描いた、新感覚・連作短編小説。
・死神とラケットで隠火を打ち合う! 「霊川怨球」
・行方不明となった“無個性”のコオロギを探す 「コオロギ捜査網」
・カレーパンで一獲千金を狙う! 「シューリンガン事件」

本文をチラ見せ!

箱船は夕刻となり、禍々しいサイレンの響きがひととき轟いた。終業の合図である。
帰宅の時刻となり、正装の市民や作業着の労働者は、時には疲れ切った相貌を見回しては安心し、あるいはより疲れ切った出で立ちで帰路へ就いた。…


8月14日(水)20時~

『真夜中の精霊たち』
新見上

笑顔になる理由を、そっと教えてくれる物語

 

この世界の全ては、七つの方角に分類される。
偉大なる精霊が世界を創造する時、その中の六つの方角を定めた。
精霊に決められない最後の方角とは——。
表題作の『真夜中の精霊たち』ほか、四篇を収録。
心の迷いを解きほぐす、問いかけに満ちた短編小説集。

本文をチラ見せ!

眠れない夜にはだね、テントウ虫ちゃん、パイプを思い浮かべてごらん。勿論、そんじょそこらの捨て置かれたような汚いパイプのことじゃないよ。
といって、店頭にこれみよがしに並べられている美術品みたいなパイプのことでもない。今時そんなマニアックなものを売る店があればの話だがね。
僕が言っているのはだね。遠い昔、誰かがそれを作る時にも、出来上がってからも、常にそのパイプを手に取る者から敬愛と親しみの眼差しを向けられ、神秘の道具として慎重に取り扱われてきた、そんなパイプのことだ…


8月14日(水)22時~

『漫画 渦巻いて 三河牧野一族の波瀾<古白編>』
岩瀬崇典

時を越え、英魂を繋げ!

 

戦国時代から江戸時代にかけてその威を振るった武家、三河牧野氏。 一族の繁栄、そして正義のために命を懸けた戦をめぐる壮大なる百年の軌跡をコミック化。

本文をチラ見せ!

 


8月15日(木)8時~

『司馬遼太郎 啐啄の記』
辻本康夫

生誕から百年。
現存最古の作文を発見した著者が、彼の貫いた知られざる「信念」に迫る。

 

第170回直木賞候補作家・村木嵐氏絶賛!!
「なぜ司馬先生はあれほど優しかったのか。 周囲を魅了し続けたその理由に、本書で初めて確信が持てました」

生誕から百年。
現存最古の作文を発見した著者が、彼の貫いた知られざる「信念」に迫る。

司馬作品には共通して”愛”があり、その背後には幼少時代と作家時代に巡り合った師の存在が色濃く感じられる。
彼の母校に勤めた著者が見つけた、小説家を志す福田定一少年の作文、そして数多の文献や講演録から、司馬氏の壮大な人生と美学を繙く前人未踏の試み。

本文をチラ見せ!

「啐啄」という漢語は「そったく」と読みます。啐の意味は鳥の雛が卵の中から殻を破って出てこようとして鳴く声であり、啄は母鳥が外から卵の殻をつつき割る音のことをいいます。
また禅家には、啐啄同時という言葉があります。師と弟子の呼吸がぴたりと合うことをいい、師弟の理想と考えます。
日常ではあまり使わない言葉ですが、司馬遼太郎、いや福田定一という一人の生徒と芦名信行という先生との出会いを知れば知るほど、私はこの啐啄という禅語を思い浮かべてしまいます。
司馬さんのこの啐啄の体験は司馬さんの小説家への道を開いただけでなく…


8月15日(木)18時~

『スクリーン』
山田健太郎

知れば知るほど、知りたくない

 

恋人の自殺、突然の逮捕、親友の変貌、真相を知るという怪しげな男。
平凡な男子高校生に罠を仕掛けた犯人とは?
真相解明に奔走する彼を待ち受けていたのは、 にわかには信じがたい残酷な現実だった――。 最後に全てがひっくり返る、超ド級ジェットコースターミステリー!

恋人である有希の自殺未遂を救った、高校3年の今岡蒼斗。 翌日彼が目を覚ますと、枕元には警察が立っていた。
「今岡蒼斗18歳、殺人未遂容疑で逮捕する」
この日を境に、蒼斗の平穏だった日常が徐々に狂い始める。
背後で蠢くのは、彼には到底太刀打ちできない大がかりな仕掛けだった。

本文をチラ見せ!

「離して!」
有希の怒り溢れる一声に驚き、俺は一瞬手を離してしまいそうだった。眼下に広がる絶壁を見ると手足がすくみ、思うように力が入らない。構えにも見える波が怒号のようなしぶきをあげる。ここで力尽きたら、俺は一生後悔する。揺れる焦点を手に合わせ、渾身の力で一気に有希を崖上まで引き上げた。
「どうして助けるのよ」
有希が顔を覆って泣き出し、俺は我に返る。再び有希が飛び降りたら今度こそ助けられない。
「とりあえず帰ろう」
無理やり有希の手を掴み崖から離れる…


8月15日(木)20時~

『気がついたらこんなことに』
上田ノッペ

『思い出ぽろぽろコンテスト』特別賞作品!

 

私の人生は、きっと思ってもみなかったことばかりだと思う。
今までも、そしてこらからも…。
私はそのすべてを受け入れる。
気がついたらこんなことに!あなたも思いあたることがあるでしょう。

本文をチラ見せ!

私は農家の嫁である。昔は、農家いえば嫌がられた職業だったが、今は違う。誰もが羨ましがる職業であると思っている。嫁いで二十五年が経つ。その間にいろいろなことがあった。
「あなたの職業は何ですか?」 「農業です」そう答えると、「大変ですね」とか「若いのによくやるわね」とか言われた。そして、その後の会話が続かないのだ。まるで、聞いたら悪いことを聞いたかのように。
私は、農業が好きで嫁になったのではない。むしろ、農業は大嫌いだった。 結婚相手として、農家の跡取りだけは絶対に避けたかったのだ…



今月もお楽しみに!