奇妙なドライブ

低くたれ込めた墨色の雲と

目にあざやかな緑の森が

奇妙なアンバランスで映える

今七月は自然の恵みにあずかって(つや)めく

いつもあの(ひと)(たた)える湖は

あわい霧の中に沈んでかすんでいる

それを私達は車の中から見る

私達、そう、私とあの(ひと)とあの(ひと)の娘と

いつもは湖を二人で「きれいだね」と言って

その先でキスをする

今日はあの(ひと)の娘がまじって車内はほがらか

わざとはしゃいでしかも物足らなくて

さびしさを押しかくして別れる

何とまあ、良い小父(おじ)さんで通したことよ、本当に──