【前回の記事を読む】不可思議な喫茶で珈琲「キシヤケバオ」を注文。逆から読むと…?

世間に揉まれて

日向ぼっこの帰り道、道端では、まだ、親子の言い争いは続いていました。

多分、20分以上は続いているのではないでしょうか。

小学生の男の子は「お母さん、怒らないと言った」を繰り返し、母親は「泥んこ遊びはしないって約束したでしょう」と腕組みをして睨みつけていました。

私が推測するに、たぶん、少年は母親に「泥んこ遊びをしたでしょう? 怒らないから正直に言ってごらん」と言われ、少年は「やった」と答えたのでしょう。

その後、母親は怒った。

一歩も譲らない両者。

長いバトルは、相手の弱点を突きあう泥仕合に。

でも、なぜ、少年は、これほどまでに食い下がっているのでしょうか。

おそらく、少年は、母親の「怒らないから」という言葉に、正直に答え、痛い目にあった父親の姿を見たことがあるからではないでしょうか。

母親に屈した惨めな父親の後ろ姿を。

私の世代は兄弟が多かったせいか、この類いの言い争いは、短期決戦でした。

親にコツンと頭を叩かれるか、それをかわして逃げるかのどちらかでした。

逃げるが勝ちです。