月夜の子猫
2時間前、公園で見つけ、パンとお水をあげてきた子猫のことが、時間が経つにつれて心配になってきました。いなければ諦めもつく。そう思って公園の駐車場に向かいました。月明かりの下、子猫は、いました。痩せた身体を小さく丸めて
「みゃおー、みゃおー」
と、か細い声で鳴いていました。逃げる様子もなく、ただ鳴いている子猫。私は、両手で持ち上げて、そっと、段ボール箱の中に入れました。動物病院に着き、先生に診察してもらうと
「かなり、弱っていますね。あと数日放っておかれたら死んでいたかもしれません」
「産まれて2カ月半くらいでしょう。オスですね。点滴をしておきましょう。それと、シャンプーと虫下しも」
私は「お願いします」と言ったものの、困ったことになったと思いました。家には子猫と同じ大きさの小犬のここあがいる。犬と猫が一緒に暮らせるのだろうか。猫の世話は大変だろうな。家の中がめちゃくちゃになったりして。猫は執念深いから、もし、このまま死んでしまったら、化けて出てくるかもしれない。
治療を終えた子猫が戻ってきました。眼を見つめると弱々しく不安そうでした。子猫が話しかけてきました。
「もう、一人ぼっちは、いやだよ」
「わかったよ。一緒に家に帰ろう」