小説 『差出人は知れず』 【第8回】 黒瀬 裕貴 免許返納を拒んだ老人がブレーキを踏み間違え、車は妻に突っ込んでいった…事故後、夫は「加害者家族を妻と同じ目に遭わせたい」 【前回記事を読む】「母さん。死んじゃ駄目だ。俺、まだなんにも親孝行出来てないんだよ。」中学生の男の子は嗚咽しながらも話しかけることをやめない「俺たちが何をしたっていうんだろうな」亡霊のように佇む東は両の拳を強く握る。爪が皮膚を食い破り、血が滴るのではないかと思うほど強く。「こんな……こんな目に遭わなければならないことを涼子がしたっていうのか。生きていれば無意識に人を傷つけることだってあるだろう。…
小説 『ナタリー』 【第5回】 福ゐ 行介 十分に成熟した女性の、ホットパンツから伸びたカモシカのような足に目のやり場を失っていると… 【前回の記事を読む】「一緒に連れて行って!」車の前に飛び出してきた少女。言われるままに助手席に乗せると……田舎とはいえ、車を30分ほど走らせれば大きなスーパーマーケットもあった。しかし、東洋人が殆ど住んでいないためか、入手出来る日本の食材は、せいぜいコンソメ味のカップラーメンくらいしかなかったのだが、コメだけはカリフォルニア産のジャポニカ米を買い求めることが出来た。それ以外の必要な食材は、私の求…