【前回の記事を読む】IQ120以上ある発達障害の次男…転校早々に教師から言われた「ひどい言葉」
第一章 そして母になる
4.「怒り鬼」となった父
こんな状況が続き、夫は「どうして学校に行けないんだ!」と、途中から火が付いたように怒り始める。「もうやめて」と言っても夫の怒りは収まらない。そして夫婦喧嘩になり、それが一時間程度から、二時間、三時間、時にはそれ以上になった。夫の怒りはぼうぼうと燃えていった。『パパと怒り鬼』(グロー・ダーレ、ひさかたチャイルド、2011年)という絵本の状況そのままだった。
長男は次男を連れ、「あっちに行ってお兄ちゃんと遊ぼう」と避難する。こんな日が一年以上続いた。夫は落ち着くと、その後は、子どもに反省文を書いて謝った。「パパが悪かった、ごめんね」と。しばらくは、嵐の後のよう、夫はとても優しくなり少しの平和が訪れるのだが、また怒りが爆発する。その繰り返しだった。
夫は怒ると大きな声を出し、テーブルを拳で叩いて威嚇し、空のペットボトルを床にたたきつけ、ドアを強く大きな音をたてて閉めた。私や子どもたちを睨みつけ、反論すると腕をつかんで床に叩きつけた。殴る蹴るという身体的暴力ではないので警察が介入できない。
しかし、それは心理的虐待、立派な「面前DV」だった。その恐怖の映像は、今も私たちの脳裏に焼き付いている。「怒り鬼」のパパは暴走し続けた。もう不登校よりこっちの方がよほど深刻だった。