二兎を追う

「二兎を追うもの、一兎をも得ず、というから、あれもこれもというわけにはいかないよね」

知人が誰に言うともなく口ずさんでいました。

なんだかそう言われると、私のことかな? とも思うのですが、私はまだ得ているとは思えませんので、あまり気にすることはやめておきます。

一つのことに集中して継続することは、大切なことです。私はいつも「継続は力なり」と思いながら、仕事や趣味を続けてきました。その間のふとした瞬間、時間が余るとき、まったく別のことが頭に浮かんできます。まるでまったく逆のこと。そのとき私は、怖いことと楽しいこと、悲しいことと嬉しいことなどが、共存していることを感じてしまいます。

そのうち、本や新聞、雑誌などでも、似たようなことを活字から見つけることができました。特に作家の遠藤周作の本が面白く、いろいろ読んでみました。そのなかで「ユーモアとペーソス」という言葉があったのが記憶に残っています。

また、最近では、「真面目にふざける」という言葉をどこかで聞きました。反対のものが一対になっていることの不思議さを感じる今日このごろです。

例えば、不動産といけ花もそうです。

この相反する二つのことは、私のなかでいつの間にか融合されていて、絡み合い、相乗効果をもたらしているようです。両方を行ったり来たりして、忙しそうに見えますが、実はそうでもありません。案外まっすぐに立っている、その足は「ゆっくりと急いで」いるのです。