【前回の記事を読む】「花は人を呼ぶ」日々の暮らしを生き返らせてくれるもの

第2章 いけ花と私

取材

「今お仕事をされているなかで、特にどのようなことに気をつけていらっしゃいますか?」

質問が始まりました。私はインタビューを受けているというわけです。カメラマンの方は、姿勢をのけぞったり、右に左に行ったりして、私がしゃべっているのを映し続けておられます。

私は懸命にインタビューに答えながら、どんなふうに映っているのか気になりましたが、途中で「もうどうでもいい」と、開き直りました。でも少しは映り良くしてほしい!(切なる願い笑)。

仕事のときの会話は、いつも相手のことを考えながら話していますが、インタビューはこちらが何を話そうかと思わなくても考えなくても、相手から聞いてもらえるので、普段通りにおしゃべりしているような感覚になりました。

このインタビューによって、私が不動産会社を経営していくために、欠かすことのできないものが浮き彫りになりました。自分のことを、立ち止まって考えるきっかけとなりました。

「不動産のお仕事で、一番力を注いでおられることは、どんなことでしょうか?」

という質問に、

「物件を持っているオーナーさんと、条件に合う物件を探しているお客様とのマッチング(仲人役)に力を注ぎたいと思います」

と答えていました。

「そのためにすることはたくさんあります。入居しやすい部屋を作るためにリフォームの提案をします。そのときに、いけ花で培った美的なものの感覚を生かしていきます。満室経営を目指し、お客様にも満足してもらえます」

不動産と花はまったく別物であって、私のなかには相反する心があって、もしかしたら錯乱しているかも? なあんて、自問自答したこともありますよ(笑)。

けれども、質問を受けながら、感じたことは、毎日の生活をいかに快適に過ごすかという点で、一致していることに気がつきました。

それは自分だけの問題ではなく、関係する多くの人たちへの提供に、広がることだという認識を持てたということになります。

これでいい……準備は良好……自分に言い聞かせてつぶやきます。

趣味で始めたいけ花だったのですが、始めてからすでに四半世紀を大きく過ぎ、もはや体の一部になっているようです。

カメラマンの方に「花をいけているところをぜひ撮りたい」と言われて、一応事前に準備をしていましたが、心臓の鼓動が隣人にも届くのではないかというほど大きく鳴っていました(^_-)-☆

不動産と花。

これって一体どうやって結びつくのだろう? 二つを行き来している私はずっと長い間、自問自答を繰り返し、解決のできないものを抱えて悩んできました。

インタビューを受けながら、だんだんと見えてくるものがありました。

今にして思えば、最初の取引先は花に関係のあるところでした。

そして、今もお付き合いのある方たちは、花にまつわる何らかの関係性があり、それでつながってきていることに気がついたのです。

「花は人を招く」

……そんな言葉が頭をよぎります。相手を思いやる心で仕事する……。

放送が始まると、知人から電話のラッシュです。こんな日も来るのだなあと不思議でした。

経験を重ねながら、周りがだんだんと鮮明になってくるのかもしれません。

自分にしかできないこと!

それを模索する良い機会だったと、心に呟きながら……。

取材時にいけた花