三日後の夕方、俺も奥さんも仕事先から急いで帰宅した。先に家に着いたのは俺だった、十年前の俺が華ちゃんをこちらへ送り返してくれた時間はもう過ぎていた。
玄関ドアの前で俺は立ちすくんだ。もし、もう華ちゃんが戻ってきていて起きていたら今頃大泣きでもしてここにも聞こえているだろうが……何も聞こえない。
そんなはずはないのだが、華ちゃんが帰ってきていなかったらと思うとこわくて目をつぶったままドアを開けた。ゆっくり目を開けると玄関マットの上に華ちゃんが寝かされたバスケットと荷物がちゃんとあった。急いで奥さんにメールをした。
「華ちゃん、ちゃんと帰ってきていたよ。だから君も慌てずに帰っておいで」
「よかった~ありがとう、わかったわ」
奥さんからの返信はやはりすごい早さ戻ってきた。まだ起こしてはいけないと思いつつもつい嬉しくてバスケットで眠る華ちゃんのほっぺたを話しかけながらつついた。
「華ちゃんおかえり~会いたかったよぉ~♡」
結構、でかめな声だったけど華ちゃんは起きずにいてくれた。俺は華ちゃんバスケットを持ちそのまま寝室へ行きそっと抱き上げベッドに寝かした。それでも華ちゃんはすやすやと眠ったままだった。奥さんが帰るまではそのまま寝かせてやろうと寝室のドアは開けたままで俺はリビングでテレビを見ながら待つことにした。