《コラム1》

この本の原稿の一度目を書き終えたあと、編集部の方に「章と章の間にコラムを書いた方がいいのでは」とアドバイスを頂きました。「コラムはアルコール依存症あるあるなど、ユーモアもあればなお良い」と。

なるほど面白そうだと思い、いろいろ考えました。しかし考えても考えても何も出てこない、笑。

私のアルコール依存症に楽しい思い出なんて何一つないことを改めて再確認しました。お互いの飲酒歴について語る「断酒会」にも「AA(アルコホーリクス・アノニマス)」にも何度か参加しましたが、ほとんどが七〇代や八〇代の高齢男性で、その上に本当に暗いんです。明るいエピソードなんて一つも聞けませんでした。

一般的に飲酒は明るく楽しいものだと思われています。だけど本当のアルコール依存症は地獄の道です。断酒会でも「この世の地獄を見たければ、依存症患者のいる家庭を見よ」とか「酒を飲む 本人天国 家族は地獄」という言葉を教えて頂きました。

そもそも、あとで「笑い」になるくらいの失敗であれば、アルコール依存症で悩んでいないと思うんですよ。

私は来年(令和五年)で、満五〇歳になりますが、高校の時から一緒に酒を飲んでいた同級生の一人は三〇代でこの世を去りました。脳梗塞でした。また別の酒好きの同級生も一命はとりとめましたが同じく脳梗塞に。

飲み屋で知り合った一〇歳下の元飲み友達は昨年、飲んだ帰りに転んで側溝で頭を打ち植物人間になりました。お酒が大好きだった雀荘の大将も昨年、飲酒が原因の病気で他界しました。

この本の執筆中にも、元飲み友達が酔った帰りに自転車で車に撥ねられ大怪我をしたり、また別の飲み友達が同じく脳梗塞で入院したり。

すでにお話しした先輩Sは三年前にあろうことか酔って交際中の女性を突き飛ばし、転ばせて死なせてしまいました。

私は三〇年間お酒を大量に飲んできました、交友関係は殆どが大酒飲みでした。このように犯罪と事故と病気で人生を誤ったり、命を落としたりする人を沢山見てきました。かくいう私も、何度病院や警察のお世話になってきたことか。