宇宙と物理の陰陽

陰と陽の性質は極小と極大の物理の世界に端的に現れますので、この宇宙世界の創造の物語から始めたいと思います。陰陽の原理から思考すれば、宇宙の姿は次のようになります。

私たちが存在している宇宙は、膨張を続けていることが知られていますが、この膨張こそ陽の根本となる性質によるものなのです。陽の膨張の性質は極まると反転して陰の収縮の性質へと変化しますので、私たちの宇宙は未来には収縮して一点になるのです。この性質を「陽極まって陰になる」といいます。そしてこの陰の収縮の性質は「陰極まって陽になる」性質へと反転しますので、一点に収縮した私たちの宇宙は次の新しい宇宙の誕生へと引き継がれるのです。この陰の収縮と陽の膨張の性質は永遠に繰り返されます。

我々の宇宙は極小の一点から始まりましたが、その向こう側は以前の宇宙が収縮して一点になった無量の力をもつものなので、反転した一点は猛烈(もうれつ)な勢いで膨張を始め、大きくなります。これを宇宙のインフレーションと呼びます。

急激な膨張の(ゆら)ぎの隙間から熱が漏れ出して、火の玉のように熱い宇宙になります。やがて膨張につれてこの熱が冷まされると、水蒸気が水や氷になるように相転移を起こし、膨張についていけずに取り残された元の濃密な真空は反対に収縮して閉じこもり素粒子になります。

この素粒子は周りの真空と比べて相対的に引力が強く働きますので真空を引き寄せ、膨張力である斥力(せきりょく)を弱める働きをしますが、宇宙は膨張から始まったので希薄になった真空の膨張する斥力の方が強く働き、宇宙は膨張を続けているのです。この膨張が極限にまで達すると膨張する力が弱まり、今度は収縮する力の方が膨張する力よりも強くなり、宇宙は反転して収縮を始め、小さくなります。この収縮が極限にまでに達すると一点になり、我々の宇宙は終わります。

この膨張する宇宙の中で相転移によってできた素粒子は集まって原子となり、星が誕生します。このようにして私たちの地球ができて、奇跡のような(えん)が重なって生物が生まれ、生物の進化の果てに人類がいるのです。この膨張する宇宙の中に収縮してできた物質が存在することを「陽中の陰」と言います。

この陰は収縮し、陽は膨張するという性質は極小の素粒子の世界にも端的に現れます。素粒子もこの宇宙と同様に収縮と膨張を極小の世界の中で、ものすごい速さで繰り返しています。素粒子は、瞬時に粒子と波の状態を繰り返しているのです。素粒子が収縮する時に外部にある真空や物質に力を及ぼして引き寄せます。これを重力といいます。

収縮して閉じこもる性質の弱いものは、収縮と膨張を弱く繰り返して流れますので重力が発生しません。これを電磁波(エネルギー)といいます。素粒子は、それがどのような力の存在する空間にあるのかによって形を変えているのです。