【前回の記事を読む】裁判は年間15,000件超…“争族”にならないために知っておきたいこととは?
相続のネットワークが強いかどうか?
ここまでの話を整理すると、相続の専門家として、①相続の知識が豊富、②相続対策や相続手続きの経験が豊富、であれば任せて安心と思って頂けるかと思います。しかし、それだけでは安心できないのが相続なのです。
前項でお伝えしたように相続対策や相続手続きには様々な業務があります。参考までに、私が運営に携わっている一般社団法人さいたま幸せ相続相談センターのサービス業務一覧を掲載しましたが、生前から相続発生後まで含めるとこれだけのメニューがあります(図表1)。
これらの業務を相続の専門家が一人でこなすことはできるのでしょうか? 優秀な方でも業務全体を一人でこなすことは難しいでしょう。
その前に法律により専門領域があります。相続登記は司法書士、相続税申告は税理士、紛争は弁護士といったようにそれぞれの独占業務となっています。つまり相続対策や相続手続きはすべての資格を持っていない限りは専門家一人で対応するのは難しいのです。
そうなると、チームで対応することになります。その場合、大切なことは相続に関するそれぞれの専門家とどのようにつながるかになります。お客様が一人一人専門家を探してくるのはとても大変です。素晴らしい専門家を簡単に探せるのであれば誰も苦労しません。程度の良い中古自動車を探すことがいまだに難しいように素晴らしい相続の専門家を探すことも難しいのです。
しかしながら、信頼できる一つの窓口となる専門家を見つけることができればその専門家のネットワークを活用することができます。窓口となっている専門家が弁護士や税理士、司法書士であって、それぞれの業務領域でしか手続きができないとしてもその専門家が信頼のおける優秀な相続の専門家とつながっていればお客様はその恩恵を受けることができます。
お客様としては専門家を一人ずつ探すのではなく、まずは相続のネットワークを持っている相続の専門家を探すことに注力頂ければよいと思います(図表2)。
次章では、相続に詳しい弁護士が相続について事例を交えて解説をします。読み応えがあるのでぜひ続けてお読みください。