牧神のラテ
一九九七年、二十五年前の出来事です。光の存在たちとの暮らしを書きます。娘の藍子は、小学生の頃、二人の植物の精霊と仲良しでした。オーちゃん、レイちゃんと名付けて、毎日遊んだり会話をしていました。樹木や花も、その光体の動きで、私や娘の問いかけに応えてくれます。他にも光の子と呼んでいた様々な友人たちもいました。
我が家のリビングにはワープのホールがありました。そこから他の星からの訪問者が来ます。彼らは肯定的なETさんです。私の友人も当たり前の様に参加して交流しますので、我が家はかなり世間離れした暮らしぶりだったと思います。
そこに、一人の牧神が現れました。少年の様な姿をした牧神は、優雅に会釈しました。
”おいらのことラテって呼んで”
私たちは彼をラテさんと呼びました。ラテは妖精(ティンカーベル)といつも一緒にいました。笛を吹いたり花冠を作ってくれたり、まるで遊んでいる様なラテでした。新幹線に乗っていると、窓の外を同じスピードで走ります。自分は屋外が好きだというので庭にテントを張って、人間を元気にする体操とやらを教えてもらったりします。
人間の私たちは、それなりに人間社会に生きているので、自由ではありません。ラテには昼も夜もない。真夜中まで光で様々なことをやりたがるのです。のらりくらりと逃げごしの私に体力をつけてあげようと工夫してくれます。娘は子供なので気にしませんが、私は世間の目をそれなりに気にしながら過ごしました。