一年一組たぶん僕は秋吉に頭が上がらないと思う。今だってこうやって揶揄(からか)ってくるし、くっついたらくっついたで、冷やかされ続けるか、恩着せがましく肩をたたいてくるだろう。風が吹いた。その拍子に瞑った瞼の裏に宮園の姿が浮かんでくる。僕は下関で生まれた。産みの母親は僕が生まれてすぐ父と離婚した。他に好きな人ができたらしい。残された父は、しばらく一人で僕を見てくれていた。気が付いたら父と二人暮らし…
[連載]彼のために人を焼く
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小説『彼のために人を焼く』【第4回】暮山 からす
実の子でない僕を可愛がってくれた母、しかし…「焼身自殺」
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「なんで帰らんの」「家がつまらんけ」…夕暮れの公園で出会った2人
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