目が覚めた時には辺りは薄暗かった。どのくらい時間がたったのか分からない。家に帰らなければと、不安が胸に立ち込めた。早く帰りたいけれど、その前に翼君に会いたい。ここにいても何も始まらないと部屋を出ることにした。ドアを盾にするようにして顔を覗かせて、リビングの様子を見渡す。部屋は静まり返っている。まどろんだ静けさとは違って、この場を支配しているのは張りつめた緊張感だ。本能的に私は雰囲気に呑まれるよう…
[連載]彼のために人を焼く
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「なんで帰らんの」「家がつまらんけ」…夕暮れの公園で出会った2人
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