「ああ、ヒナ」どこかしらほっとしたような声があがる。ヒナと呼ばれた少女―日奈邑六花(ひなむらりつか)。吸いこまれるような黒い瞳。上品に整った顔だち。ビスクドールみたいにきれいな肌。お嬢さま然とした雰囲気に、肩から背中へさらさらと流れる長い髪が似あいすぎるほど似あう。しかも、成績は常に学年のトップクラス。振るまいのひとつひとつが大人びていて、先生たちでさえ、彼女には一目置いている節があった。かと…
[連載]六月のイカロス
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