そんな風に感じ始めた頃だった。「美紀ちゃん、幹也が転校していって清々したでしょ。それとも寂しい?」学校からの帰り道一緒に帰った美智子から突然そんなことを訊かれた。「どうしてそんなこと訊くの?」「ただ、何となく。美紀ちゃんち、幹也のとこといろいろあったけど、この前の花火、幹也と一緒に見たし。美紀ちゃん、どっちかなと思って」「私、なんとも思ってないわよ」清々などしていない、切ないよと思いながら美紀は…
[連載]浜椿の咲く町[人気連載ピックアップ]
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小説『浜椿の咲く町[人気連載ピックアップ]』【第35回】行久 彬
小学校四年生の時に転校した彼が戻っている――甘酸っぱい気持ちが湧き上がりくすぐったいような暖かい笑いも込み上げてきて…
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小説『浜椿の咲く町[人気連載ピックアップ]』【第34回】行久 彬
児童相談所の女性職員と担任教師が家庭訪問――頑なに虐待していることを認めない父親
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小説『浜椿の咲く町[人気連載ピックアップ]』【第33回】行久 彬
子供の悲鳴が聞こえるという妙な噂――夏に一人だけ首回りの伸びた長袖のトレーナーか長袖のシャツを着ていて…
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小説『浜椿の咲く町[人気連載ピックアップ]』【第32回】行久 彬
女は皆浜椿のような一日花なのかもしれない…赤いマニキュアが塗られたママの指先を眺めながらそんな考えがふと頭に浮かんだ
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小説『浜椿の咲く町[人気連載ピックアップ]』【第31回】行久 彬
一日しか持たない儚い一日花〝浜椿〞――「花の命は短くて苦しきことのみ多かりき」
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小説『浜椿の咲く町[人気連載ピックアップ]』【第30回】行久 彬
2時間あまりの愚痴に絶妙のタイミングで相槌を打つ彼女――流した涙もそっと差し出されたハンカチで拭い…
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小説『浜椿の咲く町[人気連載ピックアップ]』【第29回】行久 彬
「港町に大規模なワインセラー」との見出しで地元新聞の記事にもなった酒店だったが…
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小説『浜椿の咲く町[人気連載ピックアップ]』【第28回】行久 彬
連日茹だるような暑さのなか夏祭りのボランティアで寄付集めに厄介な所へ回ることになり…
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小説『浜椿の咲く町[人気連載ピックアップ]』【第27回】行久 彬
「止めて!」突然上がった女の悲鳴――若いカップルの喧嘩に手が震え出し目から涙を溢れさせて嗚咽を漏らし始め…
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小説『浜椿の咲く町[人気連載ピックアップ]』【第26回】行久 彬
誰も恨まず誰も憎まずただ天に召されるまで命がある限り精一杯生きる――そんな風な生き方しかできないと話す2人のホステス
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小説『浜椿の咲く町[人気連載ピックアップ]』【第25回】行久 彬
捨てられたくない…その一心で言われるままに彫った背中の「悲母観音」
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小説『浜椿の咲く町[人気連載ピックアップ]』【第24回】行久 彬
初めて身も心も許した男。小遣いをせびるようになり、「証を見せろ」と無理難題を言ってきて…
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小説『浜椿の咲く町[人気連載ピックアップ]』【第23回】行久 彬
高校卒業と同時に家を出て電気機械部品の下請けメーカーに就職。十一月始めに五つ年上の軽薄そうな彼氏ができた
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小説『浜椿の咲く町[人気連載ピックアップ]』【第22回】行久 彬
台風が接近しているなか漁に出た夫は小さな二人の息子たちを残して死んだ
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小説『浜椿の咲く町[人気連載ピックアップ]』【第21回】行久 彬
二の腕には赤銅色の逞しい筋肉がつき、それが夕日を受けてさらに赤く染まる姿はこの上もなく魅力的だった…
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小説『浜椿の咲く町[人気連載ピックアップ]』【第20回】行久 彬
客たちはぎこちない笑顔とどことなく漂う暗い陰を持つ若くて美人のホステスに興味津々で…
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小説『浜椿の咲く町[人気連載ピックアップ]』【第19回】行久 彬
彼女とは子猫を拾うような出会いだった――真夜中に叫び声のような悲鳴が聞こえてきて…
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小説『浜椿の咲く町[人気連載ピックアップ]』【第18回】行久 彬
おかしい…第六感がそう呟いた。「死ぬ場所を求めてここに遣って来たのかも知れない」
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小説『浜椿の咲く町[人気連載ピックアップ]』【第17回】行久 彬
客足が鈍る雨の日は…時間が経つのも忘れちゃう買い物で気晴らしを!
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小説『浜椿の咲く町[人気連載ピックアップ]』【第16回】行久 彬
「男は女に頼られるのに弱いあほな動物さ」―したたかだった母の言葉を思い出しながら酔い客を送り出す
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