小説 『眠れる森の復讐鬼[人気連載ピックアップ]』 【第4回】 春山 大樹 「覚えてない?同じクラスの、公園で灯油被った女の子」…死んだと思ってたが、全身火傷で植物状態のまま入院中らしい。 【前回の記事を読む】「詐病」を疑われた高校生息子。「カイロを隠して体温計を温めることもできる」と医師に言われ…勿論普段も家でごろごろしているだけなので、特に入院生活がそんなに困るわけではない。食事の準備を心配する必要がないだけましである。ただ入院費用は親からの仕送りだけではどうしても足りない。だから入院のことを黙っておくわけにはいかなかった。あの母親のことだから、息子が入院すると聞いたらすわ一大…
小説 『分かたれる水面』 【第2回】 木南 木一 僕は心配しているつもりだった。だがその「心配」は、彼女の行動を制限するための鎖となった 【前回の記事を読む】僕が「救い」だと信じ込んでいたその行為が、知らぬ間に彼女を追い詰めていた恋人時代の僕は、自分が支配的な人間だなんて夢にも思わなかった。むしろ彼女を導き、彼女を守ることが自分の役目だと信じて疑わなかった。愛するということは、相手の未来を正しい方向へ誘導することだと、愚かにも考えていた。けれど、愛とは本来、もっと風のように自由であるべきものだったのだ。彼女が笑顔で頷くたびに、僕は…