次世代型の省エネルギーとしての「省エネルギー3.0」

前述したように、わが国における省エネルギーやエネルギー効率化の歴史は、1970年代のオイルショックに端を発し、すでに半世紀になりますが、まさに1970年代の10年間を「省エネルギー1.0」とすると、その後、その成果に甘えて1980年代、1990年代、2000年代は、あまり省エネルギーが進まなかった、停滞した30年間であったかと思います。

それが2011年3月の東日本大震災後の必要に迫られた節電要請が省エネルギーやエネルギー効率化に再度目を向けることになりました。この10年間を「省エネルギー2.0」とすると、いよいよ2050年のカーボンニュートラルに向けた2030年までの9年間は、「省エネルギー3.0」として、まったく新しい概念による「次世代型省エネルギー」のあり方を探求していくべきではないでしょうか。

そのための管理指標として、前述したように「エネルギー生産性(EP)」さらには「炭素生産性(CP)」を採用いただきたい。このエネルギー生産性の向上には、企業現場におけるデジタル化の推進(DX)さらには企業の事業文化やビジネスモデルの大転換も合わせて行うことも、筆者の提言する「省エネルギー3.0」には含めたいのです。

さらに、省エネルギー・エネルギー効率化の推進を単なる設備導入投資の一環として検討するというパラダイムからも脱却することも提案したいのです。もし企業が「徹底した省エネルギー」を本気で、かつ中長期的に進めたいのであれば、ESCOのようなエネルギーサービスをビジネスとして提供する業者の活用も積極的に検討すべきであると考えます。

つまり、企業サイドとして求めているのは、高効率の設備やシステム自体ではなく、それらが生み出す結果・効用(パフォーマンス)であるはずなので、そのパフォーマンスの保証がしっかり担保できる業者との契約締結も視野に入れるべきではないかということです。

例えば製造業であれば、製造自体の設備投資は自己資金で進めつつも、その製造を裏で支えるユーティリティ部分については、資産や人材の保有も含めて大胆にアウトソーシングしていくなどの経営判断をしていくことも、徹底した省エネルギーの達成と企業収益力の向上の両立には必要になってくるということです。このような新しいビジネスモデルの積極的な活用なども、この「省エネルギー3.0」には含めたいと考えております。