両家顔合わせの食事が始まった

そういう下準備があって、両家の顔合わせだった。主役はお腹の子ですねえと重信が言って食事が始まって、母体が食欲旺盛だから、はい、メニューもこの子の好みです、爺ちゃんたちの口に合わないかな。八汐が気配りを見せる。

爺ちゃんたちはギャルソン役を黙々とこなす太洋に注目する。男親たちは家族を顧みなかった慚愧の念が共にあるから、二親(ふたおや)が揃ってさえいればあとはどうでもよかったんですな、と意気投合する。淳が育児に専念することも大歓迎で、あとから思えば人生の一時(いっとき)だ、すぐ親離れされて寂しくなるんだから、とか同じことを言う。

ネタばれみたいな話聴いてもしょうがないから、食後はなんとなく子の世代が一方に寄る。あ、今暴れたよ、と太洋が胎動に気付くと八汐は癇癪を起こしそうになる。

親父たちの方で若い時は貧乏なのが当たり前だからまあ見ていてやりましょうと言っているからそっちにも

「同感です。足りないものだらけ、至らぬことだらけ。わかっている。わかりきった失敗をしてしまう。だけどよちよち歩きに転ぶから歩くなと言わないよね。それで、僕ら、自分たちでできることはするから、視ていてくれればいい。その、車も、アトリエも、()めてくれると、いいんだ、僕らは」

淳を視る。穏やかだ。

「言い方、下手で」

と付け足す。

「全く、下手で」

「俺も聴き方が下手で」

親父が言う。

失点一。太洋のせいだ。