重視されるリスペクト
オーストラリアの学校では「敬意(リスペクト)」がとても重視される。
それゆえ言葉遣いや態度、接し方などマナーにはとても厳しい。教師に対する言葉遣いが乱暴だったり、馴れ馴れしい態度で接したりするとすぐに注意される。
日本の子どもは教師のことを「○○先生」と呼ぶ。外国人はファーストネームで呼び合うから、生徒も教師のことをファーストネームで呼ぶと思っている日本人がいるが、そんなことはない。
オーストラリアでは名字にミス(ミズやミセスも)やミスターなどのタイトルをつけて呼ぶのが一般的だ。タイトルだけのこともある。ファーストネームで呼ぶのは耳にしたことがない。これも敬意の表れだ。
敬意は、教師が生徒に接する際にも求められる。子どもだからと馬鹿にしたり、必要以上に子ども扱いしたりすることは禁じられている。敬意は生徒同士でも重視される。
そして、人だけでなく、物に対する敬意も求められる。学校でも、家庭でも、社会でも、敬意は社会の基盤となっている。
学習面のつながりが大きい
オーストラリアの高校に留学していた大学生が、生徒と教師の関係についてこう言っていた。
「オーストラリアでは学習面でつながることが多いが、日本は生活面でのつながりが強い」
と。
両者の関係は、距離的な違いだけでなく、何を通してつながるかという点においても日豪で異なるようだ。
日本の教師は学習指導だけでなく、生活指導、進路指導、特別活動や人間関係の指導などあらゆる分野の指導を担っている。社会生活や家庭生活にまで関わることがある。そうした指導をする中で、教師は個々の生徒とのつながりを深めていく。
学習指導だけだったらおそらく踏み込むことはないと思われる領域にも、足を踏み入れて指導することが少なくない。学習以外のことに関わることが少ないオーストラリアの教師と大きく違う点だろう。