ロータリーへの勧誘と入会
一週間ほどして、クラブの事務局員という女性から面接の日時と場所の連絡がきた。
次の月曜日の夜六時三〇分、地元では老舗の料亭UNに呼ばれた。敷居が高そうな店だ。時間通りに行くと、会員増強委員長という肩書きのYKさん(印刷)以下三人が待っていた。
何を聞かれるのか少し緊張したが、早速宴会になってなかなか面接らしいことは始まらない。お互い相当飲んだあと、YKさんがおもむろに切り出した。
「面接は合格だ。二次会に行こう」
少し拍子抜けしたが、その人たちと二次会に繰り出した。その二次会も終わり、帰り際にYKさんが恐ろしいことを言い出した。
「実は、入会するのには選挙がある。しかも会員全員の賛成が必要だ。誰か一人の反対が出ても入会は認められないのだ」
「えっ、聞いてないよ」
「今日のことは理事会に報告する。その後、理事会の決定を経たあと、会員による選挙になる。選挙には一週間かかる。その期間内に反対が出なければ入会が認められる」
最後に僕の肩をポンと叩いて、
「まあ、大丈夫だよ。選挙が終わったら連絡するから……」
と言われて別れた。後日、YKさんから連絡があった。結果は合格したとのこと。どんな試験や選挙でも合格と聞けばやっぱり嬉しいものだ。そのとき言われた言葉が、
「七月の第一月曜日の一二時一○分から例会が始まるから、その三○分前までに会場に来なさい」
「名刺を箱で持ってきなさい」
「例会中に自己紹介の挨拶があるから準備をしておくように。その挨拶の中には、必ず織り込むべきフレーズがある」
「それは、『伝統と格式のあるクラブに入れていただいて感謝している』という言葉だ」
とレクチャーされた。そのとき、これから入る高崎ロータリークラブは地元高崎市では最も歴史のある古参のクラブであること、現在の会員数は一○○人を超える大所帯であって、地元の他の五つのクラブのどこよりも大きいことなどを教えられた。
少しだけ、叩かれた肩の荷が重くなったような気がした。そして、ロータリークラブに入るという選択が間違いだったような気もしてきた。
こうして、僕のその後の人生の大半を占めることになる長いロータリーライフが始まった。初めての例会出席いよいよ、七月の第一月曜日がきた。初の例会に出席する。
例会の会場は、地元のホテルGVだ。指示された時間通りに三階の会場に行くと、紹介者のMK社長、YKさんなど数人が出迎えてくれた。