君へ
君はもう蝶々を見たことがありますか。チオチオってなーに、と言うかもしれませんね。
でも、パパやママと春の日差しの眩しい公園などに行った時に、ほらチョウチョウって言われたことがあるのではないかしら。もう君がもし歩き回れるようならば、蝶々を捕まえようとしたかもしれませんね。
でも蝶々はきっと君の手を逃れて、ひらひらとお空やお花のほうに行ってしまったかな。でももしかしたら、諦めてしゃがみ込んだ君の頭に知らないうちに止まっていたりすることがあるかもしれませんよ。それは、どんな色をしていましたか、白かったですか。
シロってなーに、と言われるかもしれませんね。もしそれが白くて、君の手のひらより少さな蝶々で、春の日差しの中で花などにひらひらと飛んでいたら、それはモンシロチョウかもしれません。
今度そんな時があったら、そっと近寄ってよく見てごらん、びっくりするよ。花に止まっている時なら、君がお絵描きで描くぐるぐる丸のような細い管を伸ばして、それを花の中に入れているかもしれません。
これは蝶々がごはんを食べているところなのだよ。どう、びっくりでしょう。この細い管が君のお口と同じものだなんて、びっくりですよね。
でもびっくりするのはそれだけではないはずです。蝶々には君が持っていない羽があって、それで自由に空を飛んでいるのですから、すごいよねえ。
もしパパやママが蝶々を捕まえるようなことがあったら、その羽をちょっと触ってごらん。白い羽なら白い粉が君の指先に付くはずです。指をお日様のほうにむけたら、その粉は君の指先できらきらと輝いて、君はきっとそのきれいさにびっくりすることでしょう。
びっくりするのはそれだけではないと思うよ。脚だって、君の手や足とはまるで違うでしょう。目や体だってそうですよ。何でこんなに違うものが君の周りにいるのだろうね。