ちょっと変わった不思議な竹取物語
みなさんはスルガザウルスを知っていますか
スルガザウルスの素はあの『かぐや姫』の残していった『不死の薬』です
帝や翁や媼が
「かぐや姫が去ってしまったこの世で長生きをしたとて何になろう」
と富士の御山で焼いてしまったあの薬
あの薬の灰や煙や塵などが風に乗り雨で流されて周辺の六つの湖それぞれの底にたまり
永いながい年月をかけて戦などで大勢の人の流した涙や汗 血や体液までも栄養にして育ち
卵のように丸くなって力を蓄えていきました
本栖湖で舟遊びをしていた家族の坊やが誤って湖に落ちた時には
緑の藻のようになって底から浮かび上がり
その身体が沈まないように支えて 父親の助けを間に合わせました
精進湖では 鉄砲水で流されてしまった少女を
綱状に細長く身体を伸ばして それに絡めて助け そっと岸に戻しました
山中湖で 湖畔でたき火をしていた親子が誤って周囲の木々に飛び火させてしまった時には
藻を一挙にふくらめて水を集め 勢いよく吹きき出して消し 大火事にならないようにしました
陰の力のようなそんな活動を五十年以上も続けそれぞれがじっくりと力を蓄えた後
ザウルスたちの仲間を捜す旅が始まりました
最初に行動を起こしたのはもっとも遠くの芦ノ湖に飛ばされていたアシノザウルスでした
五人もの仲間のそろった魅惑的な良い匂いに誘われて たまらなくなって富士五湖方面に向かう旅を始めたのです
山中湖でヤマナザウルスに出会うと 今度は二人で河口湖のカワグザウルスを捜し
次には三人で西湖のサイザウルスの所へ
また次には四人そろって精進湖でショウザウルスを捜し
最後に本栖湖でモトザウルスを見つけ十年以上もかかってようやく全員が顔をそろえることができました
こんなにも永くかかったのはたった一人でその湖に育ち同じような仲間がいることを知らなかったそれぞれのザウルスが
外部から来たものを警戒して呼び掛けても皆すぐには出てきてくれなかったからでした