収入はガクンと減ったが、ぼくたちの食べ物さえ、ネットでたのめればそれで満足だと、おとんもおかんも言う。ゲンキと朝晩のさんぽもはじまった。
おかんは朝、カウンターでスーパーのチラシを、また、すみからすみまで見るようになった。おとんの再就職活動もはじまっている。ゲンキの体重がもとにもどり、ぼくたちの毛並みもつややかになった。
しばらくすると、おとんの仕事が決まった。パソコンの出前修理だ。お年寄りやパソコンの初心者向けに1回3000円で請け負う。電話での依頼はボチボチ。ゲンキも天気のいい時には、車に乗って一緒についていく。
幸せって空気みたいなものかもしれない。だってゲンキが帰ってくると、いつも季節のにおいがして、それだけでうれしくなるからね。時々、へんなにおいのすることもあるけれど。