糸を照らしながらローレンの前を飛ぶホタルはこう続ける。
「君がもし自分が可哀想だ、自分はダメな奴だと考えていたら、頭の中の無意識が君を本当に可哀想でダメな奴にしてしまう。無意識さえ味方にしてしまえば、ぼくたちは毎日幸せなのになあ」
まっくらな森の中を進んでいくと、突然、何かに気がついたホタルが「あっ」と言った。ホタルの視線の先に目を向けると、そこには鹿のような馬のような見たことのない生き物がいた。
「あの子はクアッガ。あの子も“独り”」
そのクアッガと呼ばれる生き物は、明らかにこの世のものではない雰囲気でなんだか不気味だ。
「破壊と再生の繰り返しだね、ローレン」
そう言うとクアッガは、ローレンと繋がる糸をモグモグと食べ始めた。
「えっ……」
ローレンは驚いて後ずさると次の瞬間、青い海の中へと落ちた。