「バスケもいいけど日焼けで肌が黒くなってお嫁に行けなくなりますよ。いい加減にしなさいよ」…古くてうるさい母親
揺れ動く女の「打算の行方」[人気連載ピックアップ]
【第8回】
松村 勝正
これが打算だったとは言わせない。
行きつけの喫茶店がある、通いなれた自由が丘。学生時代からの友だちとの晴れやかな会話から掘り起こされる、あの別れ話――。
恋愛のトラウマに縛られているつもりはない、でも忘れられない。
緑の庭園に秘められるアヴァンチュール、欲望が無意識に犯してしまった事故、旅先のスペインでの邂逅。
そして、美代子はなにを決断したのか。
人生と恋愛に悩むすべての年代の読者に贈るラブ・ストーリーを、連載にてお届けします。
松村勝正氏の著書『揺れ動く女の「打算の行方」』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋。恋愛のトラウマに縛られているつもりはない、でも忘れられない……。緑の庭園に秘められるアヴァンチュール、欲望が無意識に犯してしまった事故、旅先のスペインでの邂逅。人生と恋愛に悩むすべての年代の読者に贈るラブ・ストーリーをお届けします。
「うるさい母親と魅力的な同級生」なんでこんなに…
中学生の時は、入学と同時にバスケ部からクラブの勧誘を受けたことで、とりあえずという気持ちで入部した。家が近いことがよかった。クラブ活動が終わってすぐに家路につくことが出来たので、空腹を満たすことも簡単だった。
ある時、夏日で陽ざしが強い日、汗をかきながら家に帰ったとき母が言った。
「美代子、バスケもいいけど日焼けで肌が黒くなりお嫁に行けなくなりますよ。いい加減にしなさいよ」
「お母さん心配しないで、トレーニングで運動場を走ることもあるけど、普段の練習は体育館の中だから大丈夫なの」
「それならいいけど、母さんは運動場で砂ぼこりにまみれて炎天下でしているとばかり思っていたから」
「古いよ、もうそんなの」