〈夫と子どもたち〉
中学生や高校生になると、ますます親の言うことは聞かなくなり反抗的になるものですが、これも夫には理解できないらしく、そういうことはすべて私の育て方のせいになります。成績が思わしくないときなど、運悪く夫に成績表を見られたりすると、
「ほら見ろ。お前がちゃんと勉強させないからだ。部屋に閉じ込めて出すな。そうでもしないと勉強なんかしない! 携帯も取り上げろ!」
などと、悪い部分だけを取り上げて責め立てるという考え方の人でした。
そして、そういう彼の意見は、決して自分で子どもには言わずに、私から言うように迫るのです。子どもには嫌われたくないのか、彼の気持ちは理解できませんが、間に挟まれた私はいつも子どもには彼の意見はまったく伝えませんでした。私は彼の意見とは違う。目先の状況を責め立てても何の解決にもならないばかりか、子どもとの関係を悪化させることは目に見えています。
だからいつも私は、一人で子どもたちの成績の問題や進路の問題、友達や学校でのトラブルまですべて引き受けていました。夫は子どもたちに直接批判や強制的な発言はせず、いつも何も言いません。彼はすべて私にぶつけてきました。だから、子どもたちにはうるさいお母さんと何も言わないお父さんという構図ができ上っていました。
ですから余計に、反抗期にはかなり二人とも私に突っかかってきたように思います。
「お前が勉強させないから、こんな学校にしか行けないんだ。こんな学校に行っても意味がない。金の無駄だ」
こんなこと、絶対に子どもに直接言えるはずがありません。彼は、子どもたちがそこにたどり着くまでの努力など一切見てこなかったのですから。そこまでどれだけ頑張って、泣いて、逃げ出したり、眠れない夜を過ごしたりしたかなど、まったく見てこなかったのだから。結果だけ見て、それを非難することなど私にできるはずがありません。
結果的に、私はこういう方針でやってきたことを正解だったと思っています。私が夫と同じように目の前の状況を見て子どもを攻撃していたら、子どもの行き場はなくなります。子どもを認めてくれる大人がいなくなる。家族でも、害があると思えば離すほうがいいと私は思います。親だから正しいとは限らない。間違っていることだってある。私は、夫に同調しなくてよかったと思っています。