作戦会議
「今動画を送るから見てくれ」
「ゆりワールドか、早く送って」
「違う。昨日、ハニートラップに掛かった。竹下社長が仕掛けた」
「はぁーん! 何それ?」
「昨日、はっきりは覚えてないけど、ラブホテルに連れていかれて、女がトイレ行っている時、撮影した。腹が立つ!」
「竹下社長、バカだろう。日頃からお前をうらやんでいたからな。こんな汚いやり方許せない。裕太も呼んで仕返しの準備しよう。ほかにも絶対いるはずだ」
「ありがとう。じゃ、六時に伝八で会おう」
五時すぎ出掛けた。
「俊にぃー、いたよ! 大橋社長、エイマー建設の岡本専務、設計の片岡社長、恥ずかしい話だけど父も入っていた。被害者、みんなあんな汚い奴はいないと言っていた。泣き寝入りだよ」
「裕太のお父さんも! 許せない! よく調べてくれた。ありがとう」
「みんなの分も仕返しだ!」
「父をよくも侮辱してくれたなぁ。許さん!」
三人で策を練り、来月の異業種交流会に出席すると思うからそこでやると決めた。
「きっと僕に、どうだったかな、と聞くはずだ」
異業種交流会の当日少し遅れて、四組で会場入り。私は一人でコンパニオンの愛さんを呼び出した。七人はソファーで座り、俊さんは顔が見えないように後ろ向きに座った。
「コンパニオンの愛さんはいますか」
「はい。私ですが?」
「ちょっと、来て下さる?」
頬に平手打ち!
「何するのですか!」
「理由は、三つあります。一つ目は私、今井の妻です。今井のおちんちんを勝手に触った事」
男性陣全員ズッコケ、女性陣ハンカチで口を押えて笑っている。
「二つ目はあなたがハニートラップにかけた男性の奥様の分、三つ目はあなたが目を覚ます事よ。こんなにきれいで若いあなたが、古狸のおじさんに利用されている事、おこづかい稼ぎかもしれないけど、自分を大切にしなさい。古狸とセックスした後は直ぐベッドを出て愛する家族のもとへ帰るでしょう? 愛なんてないのよ!
これから古狸の竹下社長に物申すから、あなたはこれから変わりたいのであれば、直ぐ古狸の携帯を削除してその足で携帯を変えなさい。又は古狸と続けたければ、どうぞ、今から今井が行くと連絡してもよし、三十分ぐらい時間があるから、よく考えて行動して。あなたに合う男性が必ずいるから。幸せになってほしい。誰もあなたを責めないよ。古狸を懲らしめたいだけなの。さぁ、行って。頑張って!」
泣いている。自分で決心しないとね。八人で会場へ入った。被害者達に声をかけていた。案の定、竹下社長、
「今井社長、この間の夜はどうだったかな」
「ああー、コンパニオンの愛さんですか」
「そうだよ。楽しんだかな」
「竹下社長、悪いですね。ハニートラップに掛かる所でしたよ」
「何言っている!」
「愛さんにお願いしたでしょう。僕、妻以外の女性は抱きたくないんですよ。変だと思い動画を撮影しました。御覧になりますか?」
と。
携帯を見せた。
「ネットで拡散しますか? 会社に大きな打撃ですよ」
「あっ!」
「周囲を見てください。身に覚えがありますね」
「会社は信用を無くすと終わりですよ」
竹下社長は黙っている。
「どうしますか?」
「みんな、すまなかった。もうしない。許してほしい」
みんなに、睨まれている。
「僕も社員がいます。社長はどうでもいいけど、社員を路頭に迷わせることがあってはいけない。どうですか、皆さん社員の為に許してあげましょうと僕は思います」
「しょうがない! 社員の為に許そう。竹下社長、社員に感謝しろ!」
竹下社長は被害者達に謝っている。
「あなたとはこれまでだ。一切、連絡はするな」
怒鳴っている。
「今井社長、ありがとうございました」