1章 つらいことは自分で乗り越えろ

自分を鼓舞する

「僕はいったい何をしたというのですか?」僕は神様に尋ねました。しばらく待ちましたが神様は答えてくれません。

「神様は教えてくれない」そう判断した僕の脳が勝手に分析を開始しました。「妻が髪を切ったことに気が付かなかったこと」「僕が妻に話しかけなかったから」「僕が頑固だったから」「とにかく僕が悪い」等々、僕が悪者になる「言葉」がどんどん出てきました。

僕がどんなに悪いことをしているかを分析しているだけ。分析というよりは、僕のいけないところや短所を僕に教えてくれるだけでした。「それで落ち込んでいるのだから世話ないや」僕は自分自身にそう言っていました。

離婚をした方がいいのか、周りの人のことを考えて離婚はしない方がいいのか? 心が揺れ動いていました。

僕の小さい頃、僕の家に振子が揺れる時計がありました。その振子と同じく、僕の心が揺れ動く。揺れて揺れてどうしようもなかったのです。考えに考えたあげく僕は離婚を決意しました。妻も同意しました。

これは当時書いた僕の日記です。そのまま載せますので、文章が変なところもあります。

【離婚することになった。そして僕は五十二歳である。この状況をどう見るべきか。悲惨だなと思って、ため息ばかりついていても始まらない。未来にワクワクすることが待っていると思えば、ウキウキするものだ。おもしろくなってきたなと考えれば、楽しいのだよ、と苦笑いしながら考えた。

あまり周りのことを気にしない。世間体がどうのこうのと思わない。そして誰かが僕に言う、「おまえは、気を遣い過ぎるんだよ。自分の幸せをもっと考えていいんだよ」と。

確かに誰かが言った。誰かとは誰なのか。僕の守護霊か? 僕自身なのか? とにかく自分の幸せを考えることにした。

だが、妻のことも心配だ。ただ、そう思っていても、今後このまま夫婦生活を送っていたら、妻にきつく当たってしまうかもしれない。職場の同僚や友人に愚痴を言ってしまうかもしれない。自分が嫌な人間になってしまうかもしれない。そう考えたらスパッと別れた方がいいのだろうなと思った。

ということで離婚しようと思う。そして今後は楽しいことをやっていこうと思う。このまま結婚生活を続けていたら、僕は優しい言葉を言えなくなると思う。

さて、職場の上司にも離婚することを伝えなければならないな。あまり気にすることはない、離婚は夫婦間の問題なのだから。こう思ってしまう人もいるだろう。今まで築いてきたものがパーになる(パーならいいじゃないか。ボギーじゃないのだから)。

世間体を考えると、家族や職場の人には言いづらいな(別に気にすることは何もない。堂々としていろ)。

お金はそんなにないんだよね(金は天下の回り物。めぐりめぐっていずれは自分に回ってくるのだよ)。】

こんなことを日記に書いていました。なんか支離滅裂な文章ですよね。ただ言葉で自分を鼓舞しようとしていたのだなと今読んでも分かります。