閻魔の前で3
小さき児がやっとはいながら一人で進み出て
閻魔大王に話しかけた
ここはどこでしょうか、何故私はここにいるのでしょうか
閻魔は答えた、ここは幽界お前を裁く所
小さき児は微笑んだ、何故私を裁くんですか
私はたった三日この世にいただけですよ
お前だけではない! と閻魔は言った
お前の父と母とを一緒に裁くのだ
小さき児の顔色はさっと変わった
許して下さい、私の父と母は何も悪いことはしてません
ただ愛し合っただけです、ただそれだけです
何の罪があるのでしょう──
閻魔は悲し気に頭を振って
それがあるのだ、大ありの罪なのだ
何故ならお前の父と母は
汚い不倫の仲なのじゃ
小さき児は青ざめながらもけなげに
何が不倫なのです、あれだけ愛し合っていたではないですか
私はその愛の結晶なのです
私のどこに汚れた所があるのでしょう
閻魔は少しもてあまし気味に
ああ、お前はまだ小さすぎて分からないのだ
お前は妻ある夫と、夫ある妻の間に生まれた
いわゆる不倫の子なのじゃ
どこが不倫なのですか閻魔様!
私に分かるように話して下さい
私も何か予感はしていたのです、だけど分からない
あれだけ愛し合った父と母のどこが悪いのでしょうか
☆ああ、うるさい奴だな、俺には手が負えない──
天国にいかせろ!!