謎1 黒個体の出現
黒い個体が通常の毛色の個体と一緒に捕まったということは、色変わりの個体が出現して、たまたまそれが黒色だったということになる。
飼育員の方に聞いてみると、2~3年前に販売目的でパンダネズミとカラーネズミを購入したのだが、ケージの隙間が大きくて逃げだしたのだそうだ。私も以前捕獲したハツカネズミをしばらく飼育したことがある。その時、モルモット用のカゴを使用したのだが、逃げられることを想定して、その籠を最も大きいポリバケツに入れた。
すると大きい個体は逃げないが、小さい個体は逃げ出したのを確認している。飼育員さんの話によると、粘着シートで捕獲した個体の中には、茶色の個体もいたとのことである。この時初めて以前駆除のために粘着シートが使用されていたことを確認した。
パンダネズミ(写真2)とは日本から持ち出されたのちに、洋種のネズミと交配を繰り返して系統として保存されたネズミである。インターネットで検索すると画像がいっぱい出てくるように、愛好家が随分いるらしい。
しかし、販売展示していて逃げ出した場所からは30mほど離れている。しかも、今は施設を拡張するために作られた舗装されていない幅13mの道路で隔てられてしまっている。一般の車は通らないが、昼にはダンプカーが何台も行き来していて、ネズミが横断するとはとても思えなかった。
そして、工事そのものが始まった時期も2~3年前からだと聞いた。それ以上詳しくは聞いていないが、鶏舎にその子孫がいたことから、過去にパンダネズミに起因する黒色を発色させる遺伝子が混雑個体によって運ばれて鶏舎までやって来たことは間違いなさそうだ。きっと道路が作られる前には容易に行き来できたのだろう。
4月23日。実体顕微鏡を使って、捕獲したネズミを調べてみた。上顎切歯に凹んだ切れ込みがあるのでハツカネズミだろうということになった。
4/22~5/13まで、21日間捕獲できなかった。
捕獲具入り口に置いたパンの小片に喫食があるので、いることは間違いない。何故21日間も捕獲できないのか。21日後には再び続けて捕獲できる状態になったので、何故か空白期間と呼べる期間があったことになる。この空白期間前後に捕まった2つの集団はどのような関係にあるのだろうか。同じ集団なのかなど、どのようなことに対しても疑問を抱いてしまう。
5月13日。3週間ぶりに捕獲した6頭を、いつものように18リットル入りの丸缶に一緒にして入れてみた。しばらくすると、5頭がくっつくように寄り添い1つの塊になった(写真3)。小さい個体の1頭は加わらずに離れた場所にいた。大きい個体の周りに4頭が集まっているように見えた。面白くて数枚の写真として残した。恐らく親子だろうと思われた。