ばあちゃんは私を思いっきり抱きしめた後、何も言わず私の手を取り、歩きはじめた。ばあちゃんとこうやって手をつないで歩くのはいつぶりだろう。小学生ぶりかな、と記憶をたどる。ばあちゃんの手はシワシワでちょっとカサカサで、でも高校生になった私の手よりも大きかった。手をつないで家の方向と反対方向に歩を進めていると、ばあちゃんの手と私の手はじわじわあたたかくなっていった。しばらくすると、“あたたかい”を超え…
[連載]ぼくのカレーライス
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小説『ぼくのカレーライス』【最終回】大津 珠実
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小説『ぼくのカレーライス』【第3回】大津 珠実
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小説『ぼくのカレーライス』【新連載】大津 珠実
【小説】「感染症で閉鎖された世の中が僕を救った」に共感する、引きこもりの少年。