小説 『眠れる森の復讐鬼[人気連載ピックアップ]』 【第4回】 春山 大樹 「覚えてない?同じクラスの、公園で灯油被った女の子」…死んだと思ってたが、全身火傷で植物状態のまま入院中らしい。 【前回の記事を読む】「詐病」を疑われた高校生息子。「カイロを隠して体温計を温めることもできる」と医師に言われ…勿論普段も家でごろごろしているだけなので、特に入院生活がそんなに困るわけではない。食事の準備を心配する必要がないだけましである。ただ入院費用は親からの仕送りだけではどうしても足りない。だから入院のことを黙っておくわけにはいかなかった。あの母親のことだから、息子が入院すると聞いたらすわ一大…
小説 『さまよう記憶の行方』 【第4回】 夢崎 秀弥 離婚後、元妻は再婚しかわいい子どもが生まれた。一方その頃、夫は病室の白い天井を見つめていた――。 【前回の記事を読む】夫の不妊で子供ができない。「提供精子」での妊娠を提案すると「血がつながってない子は愛せない」と言われ…当日の夜、セントラルユニティ社が用意した治験用の部屋に案内された。外部の刺激を遮断するため、テレビもスマホもなく、天井には監視カメラが光っている。仰々しい装置があって、身体中に電極が貼られるようなイメージかと想像したが、両手首に端末を装着し、眠るだけらしい。「今夜のシミュレー…