2021年5月に実施された短歌・俳句コンテストにつきまして、入賞作品が決定いたしました。
受賞者には弊社刊行の「母」にちなんだ書籍をプレゼントいたします。

【入賞作品】

「母の日」に何がほしいか問うたびに何もいらない何もいらない
森永理恵

【講評】ただ子どもの幸せを願う母親の愛情深さと、日ごろの感謝を伝えるためにこの日くらい何かしたいと思う子ども心――。互いの想いを31字という限られた文字数の中で描き出した、メッセージ性の高い一首です。

母の手のしわの深さよ我が人生支えし日々のしるしなるかな  
安達博

【講評】普段気に留めることのない母親の手にふと目が留まり、これまでの苦労が刻まれたしわの数を見て感謝が浮かび上がってくる心の動きが感慨深く表現されています。今後支える側にまわることへの意識すら窺わせるような、あたたかな家族愛に満ちた作品です。

母逝けど変わらぬ街や梅雨明ける
熊本芳郎

【講評】母親の亡き後も変わらない街並みが彼女の存在と思い出を心に刻み続ける。その一方、いつの間にか訪れた梅雨明けによって確実に母親のいない時間が流れているのだということを実感させられる――どことなく寂寥感が漂う一句でした。