小説 詩 恋愛 2024.05.05 詩集「ホロス」より三篇 ホロス 【第5回】 rim. 何かひとつでも、あなたの心を軽くするヒントがきっとある――。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 季節のゆるやかな移行とともに、誰しもが経験する様々な感情をのびのびと描いた詩集。※本記事は、rim.氏の書籍『ホロス』(幻冬舎ルネッサンス)より、一部抜粋・編集したものです。 稲妻 この潔い一本の柱に 誰も介入してくれるな 邪魔などしてくれるな 男の理性は無用 女は本能で出す さあ、見せてくれ
エッセイ 『ねぇねぇみかどのおばさん』 【第3回】 六谷 陽子 不良とつるみ始めた近所の男の子…。駄菓子屋のおかみが決行したのは「えこひいき」作戦!? 一 みかどを閉店します富山の片田舎から下町に嫁いだ頃は、母も人間関係で苦労したようです。当時は、各家庭には水道は通っておらず、共同水道を十世帯くらいで使っていたのです。そこに行けば、他の誰かが必ずいます。特に水を使う時間帯は同じだから、会わずにすませる、というわけにはいかなかったようです。年配のおばさんたちは、個性的で嫌味を言う人もいれば、優しい人もいます。年配らの会話を笑いに変えて楽しむ若妻も…
小説 『塵芥仙人』 【第7回】 瀧 祐二 たとえ地獄の番人でもすがりつきたい心境の時に失くした腕時計が見つかったという女性社員の話しを耳にしてすぐさま… そして、真面目で誠実な作業員は、次の水曜日、温泉組合に加盟するすべての旅館に連絡を入れたという。考えてみたら、分別を行う機械の起動スイッチに小鳥が衝突すること自体不思議極まりないのに、さらには、大量のゴミ山の中から小さな時計が放ったわずかな光を見出すことなんてあり得ない話である。だいたい、その日(火曜)の箱根はおおよそ曇りであって、午前中、少しだけ雲が切れた時間があったにはあったらしいのだが、そ…