ゴールドライフオンライン

小説
『毎度、天国飯店です』
【第6回】
竹村 和貢

サークル勧誘チラシの前で、『徒然草』を抱えた美人と出会った…。

天国飯店の定休日は毎週火曜日。アルバイト生四人で、月曜から土曜の間の五営業日を分担する。四人のうち誰か一人が二営業日に入る。その者以外の三人のうちの一人が日曜日に店に入る。日曜日は大学が休みなので、朝の十時から閉店の午後九時まで十一時間店に入ることになる。「ほな、俺、明日もバイトやさかい、おっちゃんに自分のこと話してみるわ。多分、おっちゃんも構へん言わはる思うねんけど」夏生は、「できない」とは思…

人気小説連載記事

小説
『司法崩壊! ~刑務所が足りない!起訴できない!~』
【第5回】
利根川 尊徳

「警子のけいの字が警察の警って、よくそんな名前付けたよな」とつい口にしてしまった

昼食を食べ終える頃、桜田が「こんな食事を規則正しく摂取していたなら、痛風や糖尿病持ちの反社の幹部達も、食事療法とタバコもお酒も飲めない徹底した節制のお陰で頗(すこぶ)る健康な体になって出所していくわけね」と呟くと「全くその通りなんです。入所の際の健康診断で血圧や尿酸値が指摘された収容者が、一年以上入所しているとほぼ正常値まで数値を改善して出所してゆきます。正に日本が飽食なのだと痛感させられる瞬間…

ランキング

  1. 健康・暮らし・子育て
    『子どもがおつかいに行ける社会』
    【第8回】
    神田 厚
    1位 1

    最近はもう見かけない…子どもが「おつかい」に行くべき理由

    【前回の記事を読む】兄の友人が溺れ…訃報を伝えに「おつかい」に行った小学3年生そもそも「おつかい」とは何でしょう? 私が持っている辞書には“おつかい”という言葉は載っていません。「つかい」を引いてみ…
  2. エッセイ
    『医療者のことばの持つ力』
    【第5回】
    田中 順也
    2位 2

    何度も何度もお願いをしても首を縦に振ってくれなかった母。その理由は…

    母親は料理する手を一切止めずに、「そんなん、アカンに決まっているやろ」と僕の方を振り向きもせずに言った。「リトルリーグって野球のことやで」とリトルリーグの意味を母親が知らないんだと思い説明をした。で…
  3. 小説
    『迷いながら揺れ動く女のこころ』
    【第17回】
    松村 勝正
    3位 3

    あの日深夜に主人の部屋での出来事があってから気持ちが揺らぎ、つい聞き耳を…

    テレビドラマに見る、子供のいる家庭で、笑い声や子供たちの言い争う言葉の嵐の中での生活を望んでいたわけではないが、山形家のような大人三人だけの殺風景な生活に何か物足りなさを感じて、自分が結婚生活を描い…
  4. 小説
    『ミネルヴァの梟』
    【第7回】
    御田 観月
    4位 4

    ある日突然の呼び出し。一般社員には生涯縁のない本社人事部に足を踏み入れると…

    ある日のこと、渉太郎は、人事部から突然の電話を受けた。本社ビルにすぐ来てほしいとの内容であった。思い当たる節もないまま、首を傾げて考え込んでいるところに、めったに話す機会のない事業本部長からも内線電…
  5. 小説
    『野球の子』
    【第5回】
    大藤 崇
    5位 5

    父と僕を捨て、好きな男と出て行ってしまった母。「帰ってきてほしい」と伝えたくて…

    僕は高校に入学した。入学と同時に、野球部に入部、甲子園大会で五連覇を達成した。ついでに国体も神宮大会も優勝。その年のドラフトでビッグ・キャッツから一位指名を受けて、プロ野球選手になった。あらゆるタイ…

新着記事

  1. 小説
    『司法崩壊! ~刑務所が足りない!起訴できない!~』
    【第5回】
    利根川 尊徳
    New

    「警子のけいの字が警察の警って、よくそんな名前付けたよな」とつい口にしてしまった

    昼食を食べ終える頃、桜田が「こんな食事を規則正しく摂取していたなら、痛風や糖尿病持ちの反社の幹部達も、食事療法とタバコもお酒も飲めない徹底した節制のお陰で頗(すこぶ)る健康な体になって出所していくわ…
  2. 小説
    『普通の男、浩狙われる!』
    【第5回】
    上山 照

    男が狙う鍵付きブリーフケース…中を開けると百ドル札がびっしり入った封筒が!?

    チェーンで繋ぐくらいだから、確かにそれくらいは当然している筈だ! そう思うと、間違いなく当たっている気がして、やはりこのブリーフケースを開ける事が重要に思えてきた。早速、ツインロックの回転ダイヤルの…
  3. 小説
    『春を呼ぶ少女』
    【第2回】
    桜小路 いをり

    母に代わって役目を果たす彼女を、村の人々は「春を呼ぶ少女」と呼んだ

    リリーは、そんな「春を呼ぶ少女」の血を引いています。そして、フルールもまた、両親を次々にたどっていくと、物語の中の馬に行き当たるのでした。この家系に生まれた子どもは、毎年馬に乗って春を呼ぶ親の姿を見…
  4. 評論
    『フローベールの秘密』
    【第2回】
    瀬戸 和子

    あなたが何かを表現したいと思って悪戦苦闘する時、思い出してほしい作家

    この本ではまず第一部で広大な自然を前に魂がその中に、融解・合体して味わう〈汎神論的(パンテェイスム)恍惚体験〉を含む初期作品の〈無限〉を考察して、若き日の作家の基盤、芸術的出発点と来(きた)るべき展…
  5. 小説
    『近づく果実 』
    【第15回】
    鈴木 寂静

    デイケアで初めての交流。「趣味はない」という人が多いなか、晴美は立ち上がり…

    晴美はその男性を「若白髪」と心の中で命名した。晴美に促した看護師は薄化粧がとても彼女の顔に映え、美しさを増長させていたので「薄化粧」。黒板にチョークで今日の話し合いのタイトルを書いた看護師は対照的に…

お知らせ一覧